Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「超現実造型論」について➀

「シュルレアリスムのために」(瀧口修造著 せりか書房)の「超現実造型論」は短い論文ながら、密度の濃い内容になっているため、前後半にわけて気を留めた箇所をピックアップしていきます。「近代詩の領域ではアルチュール・ランボーの予見的位置、ロートレアモンの詩的弁証法的位置等を組織的に実験的に実現しようとしたのが超現実主義の詩法的態度であった。この意味でアンドレ・ブルトンとフィリップ・スーポー共著の詩集『磁場』(1921)ブルトンの『超現実主義宣言書および溶ける魚』(1924)とは現代詩の、画期的な書であったように、造型的領域においてもそれを契機として新しい〈霊感〉の機能が発見され、適用されたのであった。この先駆者の一人としてわれわれはまずマックス・エルンストを挙げるのに躊躇しないであろう。彼の使用したコラージュ(糊付け)は超現実主義画法の恐るべき図解であり、同時に絵画の古い定律を蹂躙するものであった。~略~マックス・エルンストが心的状態の苛立たしさの能力から発展させ強調した、フロッタージュ(あるいは磨擦画)と呼んだ手法も、彼のいうところによれば、彼自身の発展の上ではコラージュ以上に大きな役柄をはたしたのであった。」中高の美術科授業で教えるモダン・テクニックの始まりは超現実主義にあったと言えます。「アンドレ・ブルトンは『超現実主義宣言書』(1924)のなかでシュルレアリスムというものを、辞典的に定義して、ー『シュルレアリスムとは、言葉であれ、記述であれ、他のいかなる手段によろうと、思想の真の機能を表現せんとする純粋な精神的自動法である。理性によるあらゆる統制なしに、また美学的ないし倫理的なあらゆる先入観念の外において行われる思想の書き取りである。』と書いている。」これはオートマティスムと呼ばれる現象で、その後の現代美術に多大な影響を及ぼしています。今回はここまでにします。

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