Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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平塚の「工藤甲人展」

昨日の「ターナー展」に引き続き、2日間連続で家内と美術館に足を運びました。工房で窯入れをしていて作業が出来ないため、今日も美術鑑賞を予定に入れました。見て来たのは平塚市美術館で開催されている「工藤甲人展」。私は嘗てこの画家の作品を写真で見たことがあって、シュルレアリスム系の画家だと思い込んでいました。今日も展覧会を見るまではそう思っていましたが、まとまった作品群を見るのは私は初めてで、日本画家として革新的な境地を目指して95歳で没するまで、長い創作生活を送っていたことが分かりました。とりわけ1964年から65年に描かれた「地の手と目」や「野分」「連理の枝」「黒いとばり」に私は心を動かされました。画家50歳代前後に描かれた作品で、一番脂がのっていた時期なのかもしれません。大地から突き出た樹木と枯れ葉が鳥のように宙を舞い、私にはどうしてもシュルレアリスムの世界に見えて仕方がない正直な感想を持ちました。確かに彼が活動した時代はそうした西欧からの新しい動向が入ってきたようで、そうした背景を図録で確認しました。「工藤甲人は、壁のしみや畳の目、机の木目などの細部を見つめてなにものかをイメージし、木の枝に人の手足を、年輪のある切断面に人の眼を想起し、雲や山などの自然の形象に聖霊の姿を幻視する。その幻視にリアリズムの外貌を与えながら、詩的で物語性に富んだ作品を制作した。~略~昭和初期の日本では、アカデミックな絵画からの脱却を目指すモダニズム運動が盛んで、シュルレアリスムは、キュビスムやフォーヴィビスムなどとともに最新の前衛スタイルとして人気を博したが、『無意識の探究』という本来の目的を離れ、現実離れした幻想的な芸術として受け入れられていく。~略~元来、詩人になろうと考えていたこと、そして暗示的な表現が可能であるがゆえに日本画を選んだことを考え合わせると、甲人にとって幻想性の強い『日本画のシュール的な傾向にひかれ』たことは自然な成り行きといえる。この時点で、すでに後年の甲人の作風が方向づけられたと指摘できよう。」(家田奈穂著)展覧会場に鑑賞に来る人は、それほど多くはなかったので、じっくり鑑賞出来ましたが、大きな画面の作品が多く、距離をとって眺めることが出来て充実した時間を過ごせました。

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