私が何年もの間ずっと取り組んでいる陶彫は、土練りから始まって、成形やら彫り込み加飾をして、乾燥をさせた後、最終工程で焼成があります。つまり窯に入れて高温で焚き上げるのです。この窯入れをいつするのか、6月から新作を作り始めている陶彫は、ひと夏でかなり乾燥が進むため、秋ごろから焼成を行なうのが私の1年間の流れになっています。焼成中は窯の周辺が熱くなるので、秋の涼風がたつ頃が、私としては気持ちのモチベーション的にもちょうどいいのかなぁと思っています。ということもあって、今日は焼成準備を行ないました。乾燥がいい具合になると陶土の表面が白っぽくなります。ここでも陶土は多少収縮するので、皹が入ることもありますが、新作は今のところ大丈夫なようです。私は乾燥した陶彫作品にヤスリをかけて表面の指跡を消していきます。陶芸は手圧や指跡が作品の情緒を醸すので、それを器の特徴として扱っています。さらに釉薬を用いて窯内でその自然な流れを作り出す傾向もあり、陶土の肌色と釉薬の微妙な交わりを陶芸の景色として珍重することもあります。窯変は温度や酸素の量、灰のかかり具合、冷め方などによって起こり、同じ陶芸でも唯一無二の作品が生まれるのです。その変化は登り窯によって顕著に現れるため、陶芸家によっては登り窯を構える人もいます。私の陶彫はそのいずれの情緒をも消し去ってしまうので、陶芸と呼べるものではありません。電気窯の管理された温度によって焼成するので、陶芸に比べると面白味は微塵もありません。釉薬も使いませんが、ドリッピングによる化粧掛けは施しています。それでも陶土は窯内で石化して、私が作る混合土は鎧を纏ったような姿で私の前に現れます。そこが私の作品の完成なのです。その窯入れのために土練りから、成形や彫り込み加飾、乾燥、仕上げ、化粧掛けまでやっているわけで、最後に人の手が及ばない焼成で作品の出来不出来は決着を迎えるのです。今日は窯入れ第1号のスイッチを入れました。明日は窯内温度の確認に工房にやってきます。