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広尾の「奥村土牛」展

昨日、渋谷区広尾にある山種美術館で開催されている「奥村土牛」展に行ってきました。山種美術館60周年記念特別展と銘打って行っている展覧会では、以前「川合玉堂」展にも行っていて7月16日付のNOTE(ブログ)にアップしています。奥村土牛という画家で私が惹かれたのは、土牛という画号です。これは唐代の寒山詩にある「土牛、石田を耕す」から採ったようで「小さな石田を、長い時間をかけて耕し、美田に変える作業は、利潤や名誉の希求とは基本的に違う、生き方そのものと言っていい。」(佐藤道信著)その証拠に長い年月をかけた土牛の画業には人の心を打つ精神性が次第に備わっていくように感じられました。とりわけ私は植物や花において、そのひと筆の滲みに巧みに見せる情緒があり、暫し足を留めて見入ってしまいました。その代表とも言えるのが満開の桜を描いた「醍醐」でした。「作品集」にあった解説は田中譲氏が書いていて、私は「え?ギャラリーせいほうの田中さん?」と思わず二度見をしてしまいました。あまりの懐かしさに田中さんの文章をそのまま引用させていただきます。「花のいのちがそのまま燃え上がっているようなーといってもいい足りない輝きに映えながら、それは奥深く、聖らかにひろがって見えた。土塀も、寺院も、清浄で深い奥行きのある大きな情景をみせていた。樹齢何百年という木ひとつが、これだけの美しさを黙って咲いて、ことさらだれに見せるというわけでもなく、しずかに散ってゆく。~略~かけがえのないこのモチーフを、(小林)古径の七回忌の帰りに師の古径から授かってから、これを描き上げるまでに、土牛さんは実に十年近い歳月をかけた。」(田中譲著)信じ難いことですが、土牛は83歳でこれを描き上げたのでした。牛の歩みの如く修練を積んで大器晩成した奥村土牛の、その生き方に私は感銘を受け、また憧れの的になりました。私も焦らず休まず牛歩の確実性をもって創作活動を進めたいと考えています。

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