週末になりました。土曜日はその週の振り返りを行ないます。今週の制作状況は、新作陶彫である6つの塔の二段目にあたる成形をやっていて、毎日陶土に触れる生活を送っていました。先月に比べると気候も涼しくなり、制作がとても楽になりました。私はこの成形や彫り込み加飾を一所懸命やっている時が一番幸せかもしれず、時折全体を見渡しては満足を覚えています。しかし陶彫は成形や彫り込み加飾で終わるわけではなく、化粧掛けを施し、焼成をして、漸くその醍醐味に浸れるのです。そして画廊に新作陶彫を点在させたときの空間変容にも考えが及びます。それは私にとってポジティブシンキングであるため、何度もイメージの更新を行っています。作業の合間に手を休めながら、自作を眺めては楽しい時間を過ごしているのです。さて、今週は現代彫刻の世界で活躍した多田美波の生涯を振り返る大きな展覧会に足を運びました。私の学生時代は野外彫刻展が盛況で、その中でもひときわ端正で豊かな空間を創出していた多田ワールドに久しぶりに触れて、私は思うところが多々ありました。鏡面仕立ての曲面を多用した抽象彫刻は、曲面の中にエッジが効いた直線的で繊細な箇所があり、それが映った周囲の景色を歪めていました。そこに面白みを感じた私は、そのズレを楽しんでいました。私は2009年に箱根にある彫刻の森美術館での個展を見ていますが、彼女はその5年後の2014年に逝去されています。展覧会場を後にして、図録で振り返ってみると、創作に生き、創作に全てを捧げた人だったことがよく分かります。私もそう在りたいと願っています。今週の夜の読書では「奇想の美術館」という書籍を読み始めています。テーマの切り口が自由で、しかも論文の発想がユニークだなぁと思いつつ、やや難解な文章を読み解いています。これから秋に向かっていく季節には好都合かもしれません。