今日から9月になりました。まだ残暑があるのか、それとも秋風が立つのか、9月は微妙な1カ月です。9月になっても新作に対する姿勢は変わらず制作工程を進めていくだけですが、6体の塔はそのまま続けて気候が涼しくなれば窯入れも考えていきます。同時に壁を這う平面性の強い作品の具体的なイメージを摑もうと考えています。壁を這う作品のテーマは決まっていて、それは紋様です。今年発表した「発掘~六蹟~」の陶彫部品に挿んだ厚板材に注目してみようと考えています。厚板材は紋様を刳り貫き、そこに砂マチエールを貼り付け、油絵の具を染み込ませたものでした。個展にいらした方々で「発掘~六蹟~」の厚板材を刳り貫いた紋様に興味を持たれた方が多くいて、次作はその紋様を全面に出していこうと考えたのでした。私が紋様の参考にしたひとつは渦巻紋で、嘗て「渦巻紋と輪廻転生」(藤田英夫著 雄山閣)を読んで影響を受けました。渦巻紋はマレーシアのボルネオ島北部やアイルランドのニューグレンジ墳丘遺跡、フランスのブルターニュ半島に点在しており、明らかに同一の宇宙観を持っているところに、人類史の曙期としての紋様の在り方に興味関心が尽きないのです。ただし、私は考古学者ではなく造形作家なので、その繋がりを紐解くことより、それを創作活動の糧にしていくことを考えていて、紋様の美しさを追求していきます。その紋様デザインを私はRECORDで培った力で発揮していきたいと考えています。RECORDは一日1点ずつ制作していくポストカード大の平面作品の総称で、今も継続しているのは、デザイン力の訓練としての役割をRECORDが担っているからです。時に行き詰まりがあって苦しいこともありますが、夕方になると引き続き自宅の食卓に向かって鉛筆を動かしています。今月は季節で言えば秋に移行していくので、例年なら美術館の企画が充実していくのではないかと期待したいところです。気候的に創作活動がやり易くなって欲しいと願いつつ、来年に向けた制作に拍車をかけていくつもりです。